13年目のやさしい願い


家族も、カナも、いつだって、わたしにはとても優しかったから、

笑顔で過ごすのは、難しいことではなかった。



それでも、やっぱり……、

同じように入院している子どもたちが、仲良くおしゃべりをしているところを見ると、

一人でいる自分が、たまらなく寂しかった。



毎日、カナがお見舞いに来てくれたけど、

それだけでは埋められない感情が、確かに存在していた。





瑞希ちゃんと出会ってから、少しずつ、他の子とも話すようになった。

一番好きなのは、もちろん瑞希ちゃんだったけど、瑞希ちゃんがいなくても話せる子が出てきた。



裕也くんが声をかけてくれたおかげで、

瑞希ちゃんと出会えたおかげで、

寂しかったわたしの入院生活は、ずいぶんと明るく様変わりした。

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