13年目のやさしい願い


ずっと、引っかかっていた。

カナの優しさが、パパの気持ちが、どうして、こんなに重いのか……。

どうして、笑顔で「ありがとう」と言えないのか……。

カナの事故で、悩みはどこかに飛んでいってしまった気がしてた。

でも同時に、どこかで消えずにくすぶっているのは、気がついていた。

もしバレたらどうするの……とか、色んな理由をこじつけてもみた。

でも違う。

本当は違ってた。

そんなんじゃ、ない。

そんなことじゃ、なかった。



やけに息苦しかった。

手のひらも、じっとりと濡れていた。

心臓の鼓動が、ドクンドクンとうるさいくらいだった。



負けないでねって、言われたけど……

瑞希ちゃん、

わたしに意地悪する人、いないんだよ。



ごめんね。

わたしだけ。ごめんね。



涙が頬を伝った。

そうして、わたしは、泣きながら、

再び眠りについた。


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