13年目のやさしい願い


保健室に飛び込み、ハルがいるはずのベッドに向かって走るつもりが、そこに思いがけないものを見つけて、オレの足は止まった。



ハルが寝るベッドのカーテンが半分開いていた。

なのに、ハルの姿は見えなかった。

代わりに目に飛び込んで来たのは、制服姿の男女2人。



振り返った2人は、揃って目を大きく見開いて、オレの顔を見ていた。



一人は、一ヶ谷悟。



それから……



ちょっと、待て!?

おい、なんで、コイツがここにいるんだ!?



そこにいたのは、先週、オレが交通事故から助けた女の子だった。

あの日見たのは、別の学校の制服だったのに、今日着ているのは、まぎれもなくうちの制服だった。


< 252 / 423 >

この作品をシェア

pagetop