13年目のやさしい願い


ハルがなんでオレを呼んだか、分かった気がした。



ハルに横恋慕中の一ヶ谷悟。



そして、オレに興味津々らしいオレが助けた女。

……確か、篠塚まゆとか何とか言う名前の。



ずっと抱きしめていたかったけど、先にやることがある。

オレはハルから離れると、一ヶ谷と篠塚の方に向き直った。



「おまえら、ここで、何してたの?」



腹の底から声を出した。

我ながらドスのきいた声だった。



2人は何も言わなかった。

篠塚が悔しそうに顔をゆがめた。

一ヶ谷は、ばつが悪そうに目をそらせた。



次に何を言おうかと考えていると、

バタバタと足音がして、まず斎藤が、そのすぐ後に、志穂が駆け込んできた。

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