13年目のやさしい願い
自分でももう少し探ってはみるけど、オレだけの力じゃ、できることは限られている。
親父に頼んでおけば、安心だ。やれる目算がなければ、ああは言わない。
少しだけ肩の荷が下りた気がした。
親父の書斎を出て肩を回し、力いっぱいのびをしながら歩いていると、ちょうど階段を上がってきた兄貴が声をかけてきた。
「親父と何の話?」
「ああ、例の女」
「ん? 例の?」
「オレが助けた女……の子」
相手の年を考えて、かろうじて後ろに「子」をつけた。じゃないと、兄貴に話が通じない気がして。
「え? もう、何かしてきたの?」
……だよな? 普通、「もう」って思うよな?
オレが助けたのが先週の土曜日で、あれからまだ一週間経ってない。