13年目のやさしい願い
少しして、ようやくしっかり目が覚めてきたハルは、不思議そうな顔をしてオレを見た。
「……カナ」
「ん? どした?」
「学校は?」
「これから行くよ。今、7時半。ハルの顔を見ていこうと思って」
「わざわざ来てくれたの?」
「ああ。何で今まで、学校の前に寄るって思いつかなかったんだろうな?」
と言うわけで、オレは制服着用で学生鞄も持参。
家から病院までは5分くらいの距離。学校とは反対方向だけど、寄れないことはない。
なのに、今まで、登校前に寄ることを思いつきもしなかった。
オレの言葉にハルがクスリと笑った。
「カナ、忘れちゃったの?」
「え? 何を?」
「小学生の時、平日の朝、顔を見に寄ってくれて、そのまま学校に行き忘れて大騒ぎになったじゃない」
「……そうだっけ?」