13年目のやさしい願い
まあ、一ヶ谷って虫が寄ってきたのは、ハルが可愛すぎるからだけど。
一ヶ谷と言えば、今日こそ、絞めに行かなきゃ。
と、物騒なことを考えていると、そっと触れていたハルの手がぴくんと動いた。
「……ん」
少しの身じろぎの後、ハルの目がゆっくりと開いた。
「ハル。おはよう」
「……おはよう」
まだ、しっかり目の覚めないぼーっとしたハル。
反射的に答えてから、オレの顔を見て、ふわぁっと花が開くように笑みを浮かべた。
思わず、その頬に手を添えると、ハルがまるで猫のように、目を細めてすり寄ってくれたもんだからいけない。
まだ起き抜けのハルの唇を、つい奪ってしまった。
目を丸くしてるハルの頭に手をやり、そっとおでこにキスをした。