13年目のやさしい願い
新聞紙と色とりどりのカラーマジックを配ると、子どもたちは早速、色を塗り始めた。
見本に作って来たコマを真似する子、オリジナリティあふれる作品を作る子。
ストライプに水玉模様。
ドングリにお顔を描く子もいる。
大騒ぎだった病室に訪れた、ほんの少しの静寂の時。
でも、静かなのは一瞬で、すぐに、
「キャー! はみ出しちゃった!」
「よーっし! できたー!!」
「陽菜ちゃん、もっと作りたーい!」
なんて、元気な声が飛び交った。
そんな騒がしい大部屋に一人だけいた中学生の男の子。
足にはギブス、手には包帯、ほっぺにはガーゼという痛々しい姿。
「うるさくしてゴメンね」
そう言うと、小さく横に首を振った。
「早く治るといいね」
笑いかけると、その男の子も恥ずかしそうに笑い返してくれた。