13年目のやさしい願い


そこに年長さんの女の子がやって来た。



「陽菜ちゃん、見て~!! できた~!!」



その子が持つ小さなコマには、カラフルなお花の模様が可愛らしく描かれていた。



「わあ、可愛い~! 上手にできたね!」



そう言うと、その子はうふふと笑って、それから、そこにいた中学生の男の子にも見せたんだ。



「お兄ちゃん、見て! どう?」

「うん。可愛いね」

「お兄ちゃんも欲しい?」

「……そうだな。くれる?」



男の子がそう言うと、女の子は困った顔をした。



男の子は本気で言っているわけじゃなかった。

ただ、小さな子に合わせてくれただけ。

だから、何か助け船を出そうと思っていると、女の子は突然、ニッコリと満面の笑みを見せて言った。



「陽菜ちゃんのをもらうといいよ! この中で、いーーーっちばん上手だよ!」



   ☆   ☆   ☆

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