13年目のやさしい願い
カナがパパにクラス分けのことを頼んだと知った翌日。
カナに会いたくなくて、30分も早く登校して……。
満開の桜の下で、わたしはあふれ出しそうな涙をこらえていた。
あの時はまだ、カナやパパの心配は痛いほど分かるのに、どうして、それがこんなにイヤなのかが分からなかった。
わたしの頭の中は、自分のことだけでいっぱいだった。
同じ時、わたしを密かに想っていたという一ヶ谷くんは、わたしを見つけた。
わたしを好きになって、高校まで追いかけてきてくれたという一ヶ谷くん。
恋人がいるって知っていたのに、わたしに告白した。
わたしは……、一ヶ谷くんの顔を見ても、名前を聞いても、彼を思い出すことはなかった。