13年目のやさしい願い
……迷惑?
申し訳ないけど、正直なところ迷惑だと思った。けど、言えなかった。
偶然の再会をチャンスだと捉えた一ヶ谷くんと、ムリヤリ他校に忍び込んで、保健室にまで寝込みを襲いに来た篠塚さん。
篠塚さんのは、きっと運命の押し売りだ。
でも、一ヶ谷くんのは少し違う気がした。
「あのね? 聞いていい?」
「うん」
「何であんなことしたの?」
篠塚さんと知り合いなのは分かった。
だけど、知り合いだからって、わざわざ他校の生徒を学校に入れるような手引きをする?
見つかったら大問題だと思うんだけど……。
いくら、わたしのことが好きだからって、カナが邪魔だからって、一ヶ谷くんがそこまでする人とも思えなかった。
「えっとね……」
一ヶ谷くんは言いにくそうに視線をさまよわせた。