13年目のやさしい願い
「あの人、けっこう強引なんだよ。
この前、突然、電話かかってきたと思ったら呼び出されて。
仕方なしに行ったら、あんたが彼女のことを教えてくれてたら、わたしは時間をあんなに無駄にしなかったし、別の高校に行っていたかも知れないのに……って詰め寄られて。
それ、もう1年も前のことですよって言ったらさ、ようやく次の運命の人を見つけたから、協力しろって言うんだよ」
一ヶ谷くんは、膝の上で拳をギュッと握りしめた。
「篠塚先輩、周到でさ、うちの学校に進学した知り合いから、広瀬先輩の情報、しっかり仕入れててさ。
オレが陽菜ちゃんに片思い中で、壮絶なバトルが繰り広げられてるってのも、知ってたんだ」
一ヶ谷くんは今にも泣き出しそうな顔で、わたしを見た。
「……悪魔のささやきって、本当にあるんだね。
2人が別れたら、陽菜ちゃんが手に入るかも知れないって言われて、オレ………」