13年目のやさしい願い
一ヶ谷くんが帰るのをベッドの上から見送ると、急に身体が重さを増した。
肘をついて、ゆっくりと横になると吐息がもれた。
……疲れた。
まだ朝なのに、もう一日の終わりのような気がしてならない。
でも、疲労感は強かったけど、隠れていた色んなことが見えたおかげで心の中はずいぶんとスッキリした。
一ヶ谷くんがわたしに執着していたのは、一目惚れではなくて、去年の秋からの想いがあったから。
大きな手のひらの上に乗っていたドングリは、虹色。
回したときにキレイに見えるようにと思って、レインボーカラーのストライプに塗ったんだ。
5つあった見本のコマの中から、迷わず、それを選んだ一ヶ谷くんを思い出す。