13年目のやさしい願い
もしも、願っても良いのなら……、
隣にはカナがいて、
手を伸ばしたら触れられて、
カナって呼んだら、わたしの方を見てくれてて、
わたしのこと、ハルって嬉しそうに呼んでくれて、
いつも、
カナがわたしの隣で笑っている、
そんな穏やかで暖かい、ひたすらに静かで優しい時を過ごしたい。
わたしを好きな人だとか、カナを好きな人だとかが現れて、わたしの心をかき乱したり、わたしたちの仲を引き裂こうとしたり、
そんなことが起こらない、静かで穏やかな時間が……。
わたしの持ち時間は、きっとそう長くはない。
……だから、寄り道したり、わき見をしたりする時間はいらない。
もしかしたら、他の誰かの人生にだったら香り豊かなスパイスになるのかもしれない。
だけど、そんな時間は欲しくない。
もしも、そんなワガママが通るのなら……、
カナには、わたしだけを見ていて欲しい。
わたしも、ただカナだけを見ていたい。