13年目のやさしい願い
その翌々日、わたしは退院した。
久々の外の空気は、とても澄んでいて、空調の効いた病院の空気とはまったく違っていて、頬をなでる風が本当に気持ちよかった。
家に着いて、少しお庭を散歩したいと言ったら、迎えに来てくれたおばあちゃんに、また明日にしなさいって止められた。
仕方ないから、部屋の窓を開けて、時折舞い込む春の風を楽しんだ。
夕方にはカナが来てくれた。
今まで以上にカナが愛しくて、カナと一緒にいるだけで、自然と笑みがこぼれる。
カナの声が聞きたくて、
「何か話して」
って、何回も言った。
カナは不思議そうな顔をしながらも、わたしが休んでいる間の学校での出来事をたくさん話してくれた。