13年目のやさしい願い


金曜日には一週間ぶりに学校にも行けた。

平日は部活が忙しいしーちゃんが、お見舞いに行けなくてごめんねって謝ってくれて、

しーちゃんも、やっぱり、土日に来ようとしてくれたことが分かって、かえって申し訳なくて仕方なかった。



「陽菜、どうしたの?」

「ん?」

「何か、すごく……幸せ、そう?」



しーちゃんに問われて、どこからか暖かい気持ちがわき上がってきた。

嬉しくて、思わずふわぁっと笑顔になる。

しーちゃんが不思議そうな顔をした。



「何かいいことあった?」



なんて説明すれば良いのか分からなくて、小首を傾げると、しーちゃんは、



「ま、いっか」



と笑いながら、お弁当の卵焼きを口に入れた。

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