13年目のやさしい願い
だけど、そいつは、そんなことでどうこう思う輩ではなかったらしい。
「やめなよ。こんな人」
「……え?」
「なんだと!」
ハルの声とオレの声が重なった。
「なにこれ、独占欲? 嫉妬? よく分かんないけど、ダメでしょ、こんなの」
そいつはハルにそう言うと、オレをジロリとにらんだ。
可愛い顔をしている、犬みたいに人なつこいヤツかと思ったけど、そんなことはなかった。
見た目通りの人なつっこいだけのヤツじゃない。
コイツは男だ。
ハルに気がある男。
つまり、オレの敵、決定だ!!
「……あのね、一ヶ谷くん」
ハルが何を言おうとしてくれたのかは、分からなかった。
ハルが言葉を続ける前に、ハルが一ヶ谷くんと呼んだ新入生が、かぶせるように話したから。