13年目のやさしい願い


もしかして、先生は言わなかったけど、検査の結果がとてつもなく悪かったんだろうかとも思ったけど、

そんな雰囲気でもない。



「ママ? お仕事は?」



横を歩く、わたしより10センチほど背の高いママの顔を見る。



「大丈夫。仕事中だから」



ママは真顔で言った。



……仕事中? なのに何が大丈夫?



ママはそれ以上は何も言わず、そのまま少し歩くと、わたしをナースステーションの側のベンチに座らせた。



それで分かった。



……イヤな話だ。

きっと、とてつもなくイヤな話が始まるんだ。



わたしが倒れるんじゃないかって、ママが心配するような、尋常ではない話が……。


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