極彩色のクオーレ
眼を開く。
映る光景は変わっていないけれど、青い光が薄いヴェールになって視界全体にかかっているように見えた。
何度かちらつくことのあったこれが、6つの感情が暴れないための枷であると初めて悟る。
いつの間にか右手が腰の手板にかかっていたが動かしてはいなかった。
身体から武器は飛び出していない。
心が心に乗っ取られてしまう寸前で、ティファニーの呼び声のおかげで戻ってこれたのだ。
この枷も主人の声がなければ働かなかったかもしれない。
(ティファニーは、本当に優しい人だ。
自分が追いつめられているのにぼくの心配をしてくれるなんて)
ニコは右手を離すと、まだ自分の胸にしがみついている手にそっと触れた。
ティファニーは涙にぬれた顔を上げる。
「ニコ……?」
「ありがとうございます、ティファニー。
ぼくはもう大丈夫ですから」
振り返らずにそう告げ、ニコはティファニーの両手を胸から外した。
ただ右手はつないだままにしておく。
大丈夫だ、もう暗い心には呑み込まれない。
自分を見失わずに訴えられる。
主張するときに必要なのは従えさせるための武力や権威ではない。
本当に伝わって欲しいと望む心だ。
ニコはティファニーとつながっている右手を握って、まだ「出て行け」と言い続けている群衆を見据えた。