極彩色のクオーレ
フロウたちの元気に負けないくらい虫が鳴く腹をさすりながら、ハックが外を指差す。
セドナが迷っていると、ヒーラーがその背中を遠慮ない力で叩いた。
「行ってらっしゃいよ。
ついでに一二時間ぐらいぶらぶらしてくるといいわ」
「え、いいんですか?」
「セドナちゃん、ここ二週間工房に缶詰だったでしょ?
たまには息抜きも必要だわ」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
思わぬ長い休憩時間にセドナは戸惑いながらも頭を下げた。
「ヒーラーもどう、一緒に」
「ありがとう、でもワタシは大丈夫よ。
今からリシアがお弁当を届けに来てくれるから」
「愛妻弁当か、いいなそれ」
「でしょ?リシアは本当に料理が得意でねえ~、あ、もちろん家事全般こなすんだけど。
ラズリもだんだんそれによく似てきて」
(まずい!)
「じゃ、じゃあ、店が混むと面倒だから行ってきます先輩!」
セドナが慌てた様子でハックの腕を掴んだ。
蹴倒しそうになった台車を持ち直し、一礼してハックは後を追いかける。
「工房長よ!」と言い返しつつもヒーラーは快く送り出した。
さまざまの花が咲き乱れる季節を迎えたルースは、甘い香りであふれている。
多彩な花に挟まれる坂道を下ったところでようやく追いついたハックはセドナの肩を掴まえて並んだ。
「お、おいセドナ。急にどうしたんだよ」
「先輩のぐだぐだ地獄から早急に逃げ出したんだよ」
「はあ?よくある家族自慢だろ。
ちょっと聞いてやるぐらいいいじゃねえか」