極彩色のクオーレ
「お前は知らないからそう言えるんだよ。
あの人の家族の溺愛っぷりは稀にみるものだぜ。
結婚したときも相当な愛妻家だったけど、娘が産まれてからはそれに拍車がかかってさらに親バカになってな。
特に酒が入ったときや写真が出てきたときはひどいぞ、夢にまで出てきたんだからな。
フロウやオニキスたちに相手を任せるわけにもいかねえだろうが……」
かなり大変なのだろう、そう語るセドナの横顔がげっそりしている。
彼の日頃の努力を想像して、ハックは励ますように肩を叩いた。
時間があるので、工房から少し離れたレストランに向かう。
窓側の席につき、注文を終えたところでハックが一口水を飲んだ。
「しっかし、ヒーラーもだいぶ丸くなったな。
やっぱり父親になると変わるもんなのか?」
「んー、それもあるかもしれないけど、先生に工房を任されたっていうのが大きいと思うぜ」
約一年前、高齢によりルーアンは長年続けてきた飾り職人を引退することになった。
その際工房を閉鎖することはせず、次の工房長にヒーラーを指名したのだ。
ヒーラーはセドナが選ばれているとずっと考えていたようで、言われてからしばらくはルーアンに何度も聞き直していた。