極彩色のクオーレ





バシッ!



風船が割れるような音がした。


ケセラが自分の頬をおさえて下を向く隣で、ギベオンがぎゅっと両目を閉じていた。


ラリマーたちも表情をゆがめ、リビアが「痛ったそ~」と本当に痛そうに言う。


セドナは目を剥いてティファニーの後姿を見つめた。


一発殴ればいいのに、とは思っていた。


だが、彼女が本当に手を上げるとは思いもしなかったのだ。


平手打ちを食らった本人は、受けた勢いで倒れそうになっていた。


足を動かし辛うじてバランスをとり踏みとどまる。


自分の身に起こったことを理解できていない様子でいた。


衛兵たちが口をぱくぱくさせる。



「今はこれだけにしておいてあげる。


だけど今度、こんな、人を騙して自分の都合のいいようにするような卑怯なことやったら、本気でぶつからね」



(い、今のが本気じゃないって、ティファニーの本気って……)


(考えるんじゃねえ、ケセラ)


(美女を怒らせると怖いって本当だな……)



ティファニーはセイクリッドを殴った手を軽く振り、目隠しを巻いて踵を返した。


おのずとセドナたちのところまで道ができる。



「帰ろう」



どきどきした様子で自分を見るセドナたちに向かって、ティファニーは優しく笑った。


どこか吹っ切れたような、けれどもまだぶつけられない感情を抱えているような、そんな笑みだった。






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