極彩色のクオーレ





どうしても直せない物を直す。


壊れてしまった、ずっと大切にしていた物を直す。


そのために修理屋という仕事があるのではないかと少年は考える。


修理屋が近くにいるから壊れても大丈夫、ということではない。


すぐに直せるから、乱暴に扱っても問題ない、と思ってもらいたくない。


人々に物を大切にする『心』を忘れて欲しくない。


だからそのためにも、あまり長く街にいない方がいい。


少年はずっと考えていた。


女将が感嘆のため息をつく。



「はぁーっ、若いのにそんだけ考えられて、大したもんだよ。


あんたの方が、そこいらの職人よりずっと大人だね」


「いえ、そんなことはありませんよ」


「いやいや、自信を持っていいんだよ。


はい、これはサービス」



少年の前に、ガラスの皿が置かれる。


色とりどりのフルーツが盛り付けてあった。



「え、でもぼく、それに見合ったことしていません」


「いいのいいの、アタシの気分がいいから。


今までサービスできなかった分も含めてあるよ」




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