極彩色のクオーレ
「ニコたちには言ったよな?
親とケンカしたまんま、死に別れたって。
あのケンカの原因、ボクが女だからっていう理由が強かったんだよ。
女で仕掛け職人なんて危ない、せめて母さんと同じ時計職人になりなさいって言われてさ。
仕掛け職人は一般的に男がなるもんだからな、女のボクがなると、何かと見下されかねないから。
母さんもそうだった。
でも性別だけで全部決められるのが嫌だから、男みたいになってやろうって思ったんだ」
ギベオンがベストの裾をつまむ。
口調も服装も仕草も、男の子のように振舞ってきた。
元からそういう性分だったので、苦しいと感じた経験はない。
周囲に『男の子』と思われるようになるのに、時間はさほどかからなかった。
「初めてこういう格好したとき、すっごく驚かれたなぁ。
何度も怒られたし、服剥がされそうにもなったけど、全部無視してた。
母さんは泣いてて悪いことしちゃってるなとは思ったけど、認めてもらえるまでやめるつもりはなかった。
そしたら二人とも、病気に負けて死んじゃった。
……とんだバカな親不孝者だろ、ボク」
声が弱くなったので、ケセラはギベオンの腕から手を外した。
ちら、とティファニーたちを振り向き、ためらいがちに口を開く。
「え、じ、じゃあ、もしかしてギベオンが街中に罠をつくっていたの。
僕みたいな弱虫をいじめるんじゃなくて、みんなから離れるためだったの?」