極彩色のクオーレ
くるりとギベオンが振り返る。
ケセラがその表情を見るより早く、おでこにパチ、と衝撃が走った。
デコピンをされたのである。
「あうっ」
「お前、普段は超がつくくらい鈍感なくせに、こういうときだけ妙に鋭くなるの、なんかムカつく」
「うう……だからって、叩かないでよ」
ケセラの問いかけは、的を射たようであった。
友達のような、自分に近い存在ができる。
それはすなわち、ギベオンが『女の子』であることに気づかれてしまうことだ。
自分の性別が違うことを知られたら、どんなに仲が良くとも、見られ方が変わってしまう。
そのような事態を避けるため、ギベオンはわざと同年代の子どもたちから嫌われるように罠をつくった。
仲良くなりたいと思われないように。
「……分かってるよ、本当は。
性別なんて、ずっと隠し通せるようなものじゃないことくらい。
ボクの本当の性別を知ったうえで、バカにしないで関わってくれる人もいるけど、それも本当に少し。
たくさんいるなんてあり得ないことだって分かってる。
……だけど、もう怖いんだよ、ずっとこうしてきたんだから。
周りから違う目で見られることも、女だからって進む道を制限されることも。
今更引き返すなんてできねえんだよ。
ほんっと、情けねえ。
こんな風になるって分かってて意地張って、母さんたちを心配させたままにして……ああ、バカだなぁ」
「そ、そんなことないよ!」