極彩色のクオーレ
自虐的なギベオンの言葉を、ケセラが否定した。
それまでぼそぼそとしか話していなかった、彼と同一だとは思えないくらいの大声である。
ケセラは驚きの表情を浮かべるギベオンの両手をとり、輝かせた眼を向けた。
「ギベオン、街の男の子なんかよりずっとかっこいいよ。
自分がどうしてもやりたい道に進むために、こんなことができる人、そういないよ。
僕はお父さんもお母さんも鍵職人だから、家を継ぐために、決められた道をただ進んでいるだけなのに……。
でもギベオンはそれを壊して、自分で自分の道を切り開いていこうとしてる。
それって、思っていてもなかなかできないことなんじゃないのかな。
すごいよ、ギベオンは」
「……だけど、端から見りゃ、ボクなんてただの男装癖もちの変人仕掛け職人だ。
ボクなんかと友達になっても、お前、損しかしねえよ」
「損なんかじゃない!」
俯こうとしたギベオンの手を、ケセラは強く握った。
なぜだか彼の両目はうるみ、今にも涙が零れ落ちそうである。
「そっ、そんなの、なってみなきゃ分からないよ。
それにギベオンが言ってるのは、周りからギベオンを見てる人が思うかもしれない気持ちのことでしょ?
僕は絶対にそんな風に思わないよ、友達に性別も年も関係ない、ニコさんだって言ってたじゃん。
ギベオンは僕にないもの、全部持ってるんだから……
だから、友達になりたいって思ったんだ。
ギベオンが男の子でも女の子でも、それは変わらないよ。
そんなことでギベオンのキラキラしたところ、無くなっちゃうわけないでしょ。
損とか得とか、そんなの友達にはいらないよ」