極彩色のクオーレ
「一緒にいたのはそんなに長くねえな。
オレはあいつの腕に、あいつはオレの語りに興味を持って、それでつるんでいただけだ。
急にふらっと村を出て行ってからは、どこで何をしているか知らねよ」
「語り、ですか」
「旅をするやつらは、何かしらの芸を持っているんだ。
オレはたまたま語りが得意だったから、こうやってその日暮らしなりに食いつなげてるんだよ。
見聞きしたことを、オレなりのアレンジを絡めて人に話して伝える。
これがなかなか面白くってさ、あっという間にはまったんだよ。
もっといろんな話をつくりたい、それをいろんな人間の前で語りたい、でもそのためには、もっと色々なものを知らなくちゃいけないし、人にも会わなきゃいけない。
だから工房を継がないで旅に出ることを決めたってワケ。
もちろん、じいさんにはこっぴどく叱られたけど」
はあ、と、セドナが大げさにため息を吐いた。
同時に両肩を重そうに落とす。
「本当、あのときは工房だけじゃなくて、あそこ一帯が祖父と孫のケンカに巻き込まれて大嵐だったぜ。
先生なんか肩をこういからせて」
「ああ、じいさんの話はもういいから」
セドナの口にパンを押し込んで、ラリマーは無理やり黙らせた。