極彩色のクオーレ
「シャロアは人形だけじゃなくて、他の物もそれなりに造れちまうやつだったな。
暴走した重機械が突っ込んだ倉庫を直したり、長い石階段が辛そうな年寄りを見かけたら手すりをつくったり。
しかもそれを通りすがりに、長くかかってもものの数分でやってのけていた。
でも絶対に名乗りはしなかったな、名前を聞かれても『さすらいの旅人』とか言ってはぐらかしていたし」
「ラリマーは、どうやって名前を教えてもらったんですか?」
ラリマーよりも長くシャロアと一緒にいた自分は、いくら尋ねても教えてもらえなかったのに。
少しの悔しさと不満を含んだ表情を浮かべ、ニコはラリマーの方へ身体を向ける。
頬張った肉を咀嚼してから、ラリマーはVサインを見せた。
「オレも、直球ではなかなか教えてもらえなかったぜ。
だから誘導尋問に引っ掛けて聞き出してやったよ。
へへっ、口を滑らせたときのシャロアの『しまった』って顔、なかなか面白かったぞ。
あ、もしかしたら、そのせいで次の日村を出て行ったのかな」
「ラリマーも、思った以上に性格悪いですね」
「え、思ってたの?
オレどっからどう見ても好青年なのに」
「それは性格の悪さ自覚してるやつが吐く科白だ、バカ」
口に詰められたパンをどうにか飲みこんだセドナが、恨めしげに言ってラリマーの脛を蹴飛ばした。