極彩色のクオーレ
「ティファニー」
名前を呼んだが、返事はない。
反対隣のニコと向かいのラリマーは気づいてセドナを見たので、聞こえているはずだ。
セドナはもう一度呼びながら、ティファニーの肩をゆする。
「おい、ティファニー?」
「……え?」
ティファニーが初めて気づいたかのようにセドナに顔を向けた。
三人の視線を感じ、頬をかく。
「えっと、今、私を呼んだ?」
「どうしたんだよ、さっきからずっとポケーッとして。
具合でも悪いのか?」
「あ、ううん。そんなことないよ」
ティファニーは慌てて両腕と首を振り、大丈夫だと伝える。
けれども、腕を降ろしたときの彼女の口元が、悲しげにゆがんだ。
それを見逃さなかったニコが、主人を真っ直ぐ見つめて尋ねる。
「……レムリアンのことが、気になるんですか?」
「あっ……」
はっとした表情でティファニーが顔をあげる。
だがすぐに俯き、こくりと頷いた。
「なんだか……可哀相だなって、思って」
「かわいそう?」
対照的なくらい明るい声色でラリマーが繰り返す。
セドナは再び、黙って脛を蹴った。