極彩色のクオーレ
つかの間考えて、ティファニーは2階の書室を示した。
その部屋はニコが使っている客室より広いはずだが、壁一面が本棚となっていた。
他にも本棚が複数あり、通路を形成している。
入りきれなかった本の塔や山が、さらに歩けるスペースを狭くしていた。
見るや否や、本が嫌いなセドナが思いきり顔を歪めた。
「うっわ、なんだこの部屋……」
「これ、全部お母さんとお父さんの本なの。
お母さんが読み聞かせてくれた本もしまってあるわ。
私、点字の本しか読めないから……」
ティファニーは目隠しを触ってみせる。
だからリビングにも本が数冊あるのかとセドナは納得した。
「ラリマー、書室はこんな部屋だけ」
「うおおおお!?」
「きゃっ」
身を引いた瞬間ラリマーが叫んで部屋に飛びこんだので、ティファニーは短く悲鳴をあげる。
すぐにセドナが怒って注意したが、興奮するラリマーの耳には届かなかった。
ニコを調べていたときと同じくらい目を輝かせ、棚に並ぶ背表紙をなぞっていく。
「すっげえ!なんだこの部屋、こんなに本があるの、本屋しか見たことないぜ。
うおおっ、これ、メラル・グリーンの『大陸放浪記』じゃん!
こっちはアケードの『とっても簡単な伝説大全』だ……なんだここ、オレの読みたかった本の宝庫じゃねえか!
うわ、うわ、これ絶版本の……」