極彩色のクオーレ
「さんきゅー。えっと、この本は……」
それを受け取ったラリマーが、表紙をしながらどんどん棚に戻していく。
何度か繰り返した後、本を戻す棚が一冊ずつバラバラだったことに気づいたので、ニコは拾うのを中断して彼の様子を観察した。
「ん、どうした?」
「本を戻すの、ぼくが渡したものをそのまま立てるんじゃなくて、バラバラにして置くんですね。
君なりに分類しているんですか?」
「ああ、違う違う」
ひらりと手を振って、ラリマーが自分の額を指差した。
得意げにウインクする。
「オレ、語りの他にも抜群なのが記憶力なんだよ。
瞬間記憶能力ってやつかな、一度見たものは忘れないようになってんの。
その代わり聴覚記憶力はあんま良くないけど。
だから、どこに何の本がどういった状態で置かれていたのか正確に再現できるよ」
ニコは何度か小さく頷いた。
するとラリマーが不満そうに頬を膨らませる。
「なんだよー、信じてねえな、その表情」
「別に疑ってはいませんが、君が正しく本を元の位置に戻しているかどうかが分からないので。
君が本をこんなに出す前の状態を知らないから、何とも言えません」
「……お前、そこは素直に信じていいんだよ」
「すみません」
ニコの額を軽くつついてから、ラリマーが作業を再開する。
何だか釈然としないもやつきをニコは抱いたが、それはまた確認できることなので、今は書室の片付けに集中しようと考えた。