極彩色のクオーレ
ラリマーが意味ありげな声を返す。
それがなんだか気に入らなくて、ニコは目を細くして彼を見た。
「さっきから遠回しに、なにが言いたいんですか?」
「遠回しでもないだろー、このくらいで怒るなよ」
「怒っていません」
「ニコ、それは怒っているやつが高確率で使う定型文だぞ」
苦く笑って、ラリマーがニコを振り向いた。
若葉色の瞳に、これまでとはまったく異質な光が走る。
目だけで相手をすくませてしまうような、得体のしれない迫力があった。
「じゃあ、単刀直入に聞く。
お前、元ご主人のことはきっちり諦めているんだよな?」
なぜだか左胸の奥が奇妙にざわついた。
視界が揺れ、青に染まっていく。
その中にシャロアの後ろ姿が見えた気がした。
そこから、ニコが見てきた彼の姿がいくつもよぎっていく。
ほんの玉響(たまゆら)現れた幻ではあったけれど。
「……おーい、無言じゃ分からないぜ?」
目の前でぱたぱたと手を振られて、ニコの視界がもとに戻った。
ニコが瞬きしてラリマーを見返すと、彼は腰に手を当ててため息をついた。