極彩色のクオーレ
「そんなこと……」
ありません、と言いかけてニコは口を閉じた。
本当にそうだろうか。
もうシャロアのゴーレムにはならない、彼を主とはしない、そう決めたのはニコ自身だ。
たとえ先に頼んだのがティファニーだったとしても、それに答えたのは外でもない彼の意図である。
そうでありながら、シャロアと過ごした日々に想いを馳せているのではないか。
また黙ってしまったニコの額を指で弾いて、ラリマーは大欠伸した。
「まあ、このことはお前とティファニーとの間のことだから、オレがとやかく口出しするつもりなんてねえよ。
シャロアをきれいさっぱり忘れろ、とも言ってないからな。
お前があいつのこと考えようと、あいつを主人として動く自分を夢見ようと、オレの知ったことじゃない。
……でも」
ラリマーは、ニコが集めた最後の本を受け取る。
しかし本だけではなく、それを持つニコの右手ごと掴んだ。
視線を合わせ、それまで浮かべていた微笑みも軽い雰囲気もすべて消す。
「それってさー、今のご主人に失礼だとは思わないのか?」
『ニコ』
ティファニーの声が脳裏に鳴る。
シャロアではなく、薄桃色の目隠しをした少女が見えた。
再度世界が大きく揺れ、青色がすべての色を支配した。
今度は極めて短時間。
その間に、ラリマーはニコが持っていた本を戻そうと彼に背を向けていた。