極彩色のクオーレ
やがてレムリアンが足を止めたのは、街の北東部、小高い丘に立つ青い屋根の家の前だった。
どこかの国の城をモチーフにしているのか、どことなくきらびやかな印象をもつ。
「ここダ」
短く告げて、レムリアンが手を離す。
ニコは蔦がところどころ這う灰色の塀をペタペタ触りながら、さび付いた黒い門に近づいた。
そこから見える庭は丁寧に手入れがされ、真っ赤な薔薇が咲いていた。
足元には薄黄色の花が、こちらは控えめに花びらを開いている。
だがニコの視線はそれらではなく、入口の傍らにある女性の石像に吸い寄せられた。
椅子に座り、膝の上に開いている本に視線を落とし、柔らかな笑みを口元に浮かべている。
まるで生きているかのようなつくりだった。
ただ気になるのは、その石像が実際の服を着ていること、椅子と本を象っている石と女性を象っている石の質が異なることであった。
珍しい作品である。
「あの石像……」
「お、いついっ、たあっ!」
ニコが尋ねかけたとき、後ろから激しい息切れが聞こえた。
振り向くと、膝に左手をついて息を整えるラリマーの姿があった。
右肩に載せられたままのティファニーは、彼の背中にしがみついて耐えている。