極彩色のクオーレ
「おっまえは、またそんな自己中心的な!」
「なにようるさいわね、あんたには関係ないでしょ。
造主が傍にいないってことは、今この子は誰にも仕えていない。
そうでしょ?」
「ちげえよ、ニコの今の主は」
「ああ、もしかしてティファニー?
丁度よかったわ、あんたこの子よこしなさいよ」
「……え?」
事態をうまく把握できない様子で、ティファニーは辛うじてそう声を出した。
リビアがニコから腕を離し、しばらく棒立ち状態だったレムリアンの胸部を突き飛ばす。
「タダとは言わないわ、交換よ。
代わりに、このポンコツをあげるわ。
不完全だけど、その辺のゴーレムよりはマシに動くわよ」
不意をつかれたレムリアンが後ろへよろめき、ぶつかったティファニーが支えようとする。
だが見えないせいでタイミングが合わず、一緒に倒れこんだ。
思いもよらぬことに、さすがのラリマーも目を剥く。
リビアは踵を返し、ニコの左手首を掴んで家へと戻り始めた。
「ニコ、あんなの放っといて中に入りましょう。
レムリアン、もう二度とここに来るんじゃないわよ。
あと、そこにいる新しい主人に名前を付け直してもらっといてよね」
「おい、待てリビア!」
「うるさい!」
立ち上がったラリマーの顔に、蝙蝠の人形がべたりとはり付いた。
その隙にリビアがドアを力強く閉める。
鍵が音高く鳴り、2人分の足音が家の奥に進んでいき聞こえなくなった。