極彩色のクオーレ
「……あたしにあんたの製造者並の技術と賢さがあれば、できるかもしれないわね。
でも、それは絶対にできないし、しようとも思わない。
あの子は未完成のまま、壊れるまでああして動き続けるのよ」
スケッチブックを閉じてテーブルに投げ、リビアは弾みで落ちた設計図を拾った。
ゴーレムの心臓、羅針盤の設計図である。
形はニコのそれとは大きく異なる、つまりごく一般的に知られているもの。
「……君がレムリアンを製造したのは、何年前ですか?」
「2年前よ。それがどうかしたの?」
「いえ、レムリアンの身体がうっすら日に焼けていたので、どれくらい稼働しているのか気になりまして。
17歳であれだけの完成度のゴーレムを造れたなら、そこまで恥じる必要はないと思いますが。
君より年上で、言い方が悪いですが、レムリアンより性能の悪い人型ゴーレムだっていますよ」
「下の人間とは比較しない主義だから、あたし」
素っ気ない口調でリビアが返した。
ニコを真っ直ぐ見据え、やや刺々しい声を出す。
「ティファニーのところへ帰りたいんたら、勝手に帰ればいいわ。
でも、それで代わりにレムリアンを返せってことじゃない。
そのことをきちんと、あのポンコツに伝えといてちょうだい……正確に理解するかは分かんないけど」
「……あの」
背中を向けかけたリビアを呼び止め、ニコは少しだけ唇を尖らせた。
自分の知っている言葉、知識、感覚を探りながら、気持ちがリビアに伝わるよう話す。
「ぼくたちゴーレムは大切な人、特に主の”心”が分かります。
だから厳しく命令されても、そこに主の心が少しでも伴っていないと分かれば、命令は聞きません。
従っても主の幸せに繋がらないと判断してもです。
……造主が傍にいる限り、ゴーレムは造主を幸せにすることを望みます」