極彩色のクオーレ
遠慮ない力でラリマーがレムリアンの背中を叩き、広場から四方に伸びる大通りをぐるりと見回した。
腰に手を当て、短く息をつく。
「あいつ……来ねえな」
「あいつって……リビアのこと?」
ティファニーがラリマーに顔を向ける。
小さく首を竦め、ラリマーは東側の通りの遠くを見つめた。
「来るかなーって思ったけど……ま、現実はそう簡単にはいかねえか」
ティファニーは少しだけ俯き、それから隣に座るレムリアンの肩をつついた。
「ねえ、レムリアンはリビアに『いらない』って言われてからは、夜はどこで過ごしていたの?」
「街の南ニある空キ家ダ」
それは何十年も前からあり、所有者が誰か分からないため撤去できないままでいるあばら家のことだった。
「そんなところに居たの?」
「他に行クとこロがないかラダ」
「……それなら、私の家においでよ。
リビアがまた、あなたのことを必要としてくれるまで」
無表情でティファニーを見下ろすだけのレムリアンの背中をラリマーがもう一度叩き、ひとまず彼女の家に戻ることとなった。