極彩色のクオーレ
「まあ待てって。
この図鑑には載ってないけど、まだ書室に調べていない本がたくさんある。
あそこを探せばこの図鑑よりも詳しく書いてある文献が見つかるはずだ。
レムリアン、手伝うよな?」
「ああ、当然ダ」
ティファニーから書室の鍵を借り、ラリマーとレムリアンは二階へ向かった。
彼らの足音が、天井で響いている。
天井の木目を見上げ、セドナが大きくため息をついた。
「……あいつ、絶対に蜻蛉花が見たくてあんだけ必死に探してるだけだよな。
すっげえ楽しそうにしているし」
「でも、目的は同じだからいいじゃない。
ラリマーって、けっこう頼りになると思うわよ」
「自分が興味ある対象にしか発揮しねえよ、あの根性とやる気は。
レムリアンが一緒にいるなら心配ないとは思うけど。……ニコ」
「はい?」
外の空になった皿を取りに行ったニコを指差し、真剣な表情でセドナが言った。
「今日もちゃんと、お前が書室の鍵を預かれよな」
「分かっていますよ、約束ですからね」
それなら文句ないと笑って、セドナがニコの花をつまむ。
ブドウを一粒つまんだティファニーが、彼の袖をくいくい引っ張って尋ねた。
「ねえ、どうして鍵をしめないといけないの?」
途端、セドナは耳まで真っ赤に染まる。
「そ、れは……年の近い男女が同じ家にいるならそうしろって、誰かに聞いたからだ」
「……えっと?」
ティファニーが理解できず困った表情を浮かべる。
セドナはそれ以上に困ったが、あまり詳しく説明することはできなかった。