極彩色のクオーレ
「マスターに改造されたから一度も使用していませんでしたから。
雑兵人形のころと大して変わっていなければ、あのシナワニは数秒で黒炭ですね」
「まじか、見かけによらずおっかねえのな、お前って」
大げさに驚いて見せてから、ラリマーは少し考え込む。
それから指を唇に当てた。
高く抑揚をつけた音が、森に響いていく。
「チチッ」
すると彼の肩に、大きな耳を持つ黒い小動物が駆け上がった。
大きさは、ラリマーの片手のひらに載るくらい。
「それは?」
「ピウっていうネズミの仲間さ。かわいいだろ?
名前はシリカだ。
今近くにはいねえけど、他にあと二匹連れているんだぜ。
栗毛のヒスイに、赤毛のエピドー。
機会があったら、遊び相手にしてやるよ」
ラリマーは取り出した紙切れに何かを書くと、それを細く巻いてシリカに咥えさせる。
シリカは鼻をひくつかせ、素早く草の上を滑るように走って行った。
あっという間に、シナワニを追い越していく。
「あの紙、何なんですか?」
「んー?ちょっとした指示を書いといたんだ。レムリアンに、逃げるならそこに逃げろって」
そう教えるラリマーの横顔は、なにかいたずらを企てるギベオンとよく似ていた。