極彩色のクオーレ
「石像病」
ラリマーに背を向けたままリビアが呟く。
聞き落としそうになるくらい小さな声だった。
「え、なに?」
「石像病、聞いたことない?
ある国やある地方では有名な病気らしいわよ」
「うーん、聞いたことあったような、ないような……。
どんな病気だったっけ?」
「そのままの意味よ。
『メデューサの呪い』とも呼ばれる、突然身体に異常が起きて、肉体すべての細胞が石になる病気。
遺伝的なものはないし、ウイルス性のものでもない、感染ルートは一切不明。
でも特効薬も予防薬もないから、かかったら100パーセント発症し、最終的には石像のように硬直して絶命する。
……母さんは、その病気で亡くなったわ」
ラリマーはリビアの家にある石像を思い出した。
変わったつくりをしていたから、記憶に強く残っている。
「じゃあ、お前の家にあるあの石像が……」
「母さんよ。3年前に突然足が動かなくなってね。
診てもらったらその病気だって判明したの、しかも末期の段階まできているって。
それから2ヶ月も経たないうちに石化がどんどん進行していって、母さんは石になった。
火葬しようにも骨まで全部石になっちゃったからね。
だから砕いてお墓に入れないで、あそこに座らしてあげているの。
門からみえる街の景色、母さんが好きだったから。もちろん天候が悪いときはリビングに動かしてるけど」