極彩色のクオーレ
「今回の勝負はドローだ」
「……へ?」
「『へ?』じゃねえよ、お前は負傷しているし、その原因は俺。
勝負続行なんて無理だろうが」
「そりゃあ、確かにそうだけど……じゃあ、あのウォルフィンはどうすんだ?」
タンザは腕組みし、不満そうに表情をゆがめながら答えた。
「店の資源ってことにする。
俺たちが採取したブラッディ・クォーツでニコに交換してもらうよう頼んでみるよ。
そうすんのが妥当だろ?」
「お、おお……やっぱお前、頭いいな」
「お前がバカすぎるんじゃないのか?」
タンザが端的に返して、ハックの視界から外れて彼から離れた。
ハックはそちらに顔を向けると、三度タンザが外の景色を眺めているのを見つける。
空色の鏡のように窓にうっすら映る彼の顔は、仏頂面のままだった。
「お前はさっさとそのケガを直せ。
そうしねえと、この勝負の決着がいつまでもつかねえ」
「ああ、そうだな……しばらくは安静にしているか」
ハックは頭の後ろに腕を敷いて、包帯を巻いた右足を天井に向かって伸ばした。
なんだか、いつものケンカの後よりもずっと、気持ちがすっきりしている。
お互いの本音を言い合えたからだろうか。
視線を再び天井の木目に向けて、ハックは小さく笑った。
2人はまったく気づいていなかった。
ティファニーとタンザが出入りしたドアが細く開いていて、そこから数人が様子を見守っていたことを。
隣の部屋の壁に耳を当てて、2人のやりとりを聞いていたことを。
ティファニーとニコに、ラリマーと連れてこられた街医者。
セドナと彼に呼ばれて急いで来た、キマーダとボルダー。
しゃがんで中を覗いていたセドナは、もう見続ける必要はないと、ドアを静かに閉める。
そうして、盗み聞き・盗み見仲間と顔を見合わせ、ニカッと笑い合った。