極彩色のクオーレ





自分にない良さを認め、それに強く惹かれる『憧憬』の心。


それを羨ましがり妬むのではなく、負けたくないと思う『競争』の心。



どちらも上昇意向を強めるために不可欠な心だ。


今の自分よりも、大きく成長するために。



「……前向きになれるけど、間違えたら負の方向へ働きそうな感情ですね」


「うん?何か言ったか?」



独り言にラリマーが振り返ったが、なんでもないとニコは首を振った。


視界の端に、ティファニーの姿が入りこむ。


タンザたちと別れてからここまで、一言も話していない。


唇をへの字に曲げ、不満そうにしている。


同じくそれに気づいたセドナが、歩くのを止めて彼女の顔をのぞきこんだ。



「どうした、ティファニー?」


「え?」


「いや、さっきからずっと黙りこくっているからよ」



道標が森の中へ続いていくところだった。


声をかけられて一瞬だけ顔を上げたティファニーが、三人から顔を背ける。


曲げた唇を軽く噛み、さわさわ揺れる枝が静かになってから、ぽつりと言葉を落とした。




< 659 / 1,237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop