極彩色のクオーレ
ギベオンがセイクリッドの左胸を指差す。
一角獣と翼、青薔薇をモチーフにしたエンブレムだ。
どれも民衆の頂に立つ者の象徴である。
やがて一行がニコたちのところに近づき、それにつれて集団の後方が見えてきた。
「ヨリジェの第2王子サマが、なんでまた異国のルースに」
「おおーっ!」
ぼやくラリマーを押し退け、ギベオンが目を輝かせる。
2頭の馬が引く荷車には、森で仕留めたのであろう大型獣が網にくるまれ横たわっていた。
麻酔針か何かで生け捕りにしたのだろう、腹部が動いている。
げえっとセドナが大げさに顔をしかめた。
「ハウンドじゃねえか。
こいつまでルースの近くにいるなんて、いよいよ大陸が狂ったのか?」
「なんですか?はうんどって」
「砂地に生息するイグアナの分類。
でも哺乳類の特徴を持つから、突然変異種だって言われている。
変なの、分布は砂漠地帯の西のはずなのにな……」
セドナが首を傾げる隣で、ギベオンが大きく首を縦に動かす。
荷車が彼らの前を通りかかったとき、閉じられていた瞼がパチリと開いた。
棒状に走る3つの瞳孔をもつ黄土色の目だった。
それを見た者はまずその不気味さに驚き、遅れてハウンドが目覚めたことに恐怖を抱いた。