極彩色のクオーレ





直後、ハウンドがのっそりと起き上がった。


網がいともたやすく引きちぎられる。



「う、わあああっ!」



誰かの悲鳴が迸る。


それを皮切りにあちこちで叫び声があがり、人だかりが大きく動き出した。


ハウンドから逃げようと走り出し、恐怖で動けない人がなぎ倒され、それに躓いて人が転倒する。


通りの騒然とした空気を感じた馬たちが甲高く嘶き、さらなる混乱が生まれる。



「うおおっ!?」


「危ね!」



ラリマーやセドナが声をあげながらも、ティファニーやケセラたちの盾になろうと動く。


ケセラはすでに泣きべそをかいて座り込んでいた。


荷車の傍にいた衛兵が銃を装填したが遅く、ハウンドに吹き飛ばされる。


後方にいた衛兵が三人がかりで押さえようとしたが、こちらもハウンドの尾に弾き飛ばされてしまった。


ハウンドは四肢と首とを鎖で荷車につながれていたが、勢いでその荷車が軽々とひっくり返る。


もはや拘束具の役目を果たしていない。



「シャァアアアッ!!」



牙を剥いたハウンドが首をぶんぶん振り、その動きがぱたりと止まる。


その顔の先には、鉄柱にすがりついて座り込んでいる小さな男の子の姿があった。


周りにいた住民たちはすでにそこから離れている。




< 734 / 1,237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop