極彩色のクオーレ
「シュルルル……」
独特な唸り声を喉の奥から出して、ハウンドがニコを睨む。
口の隙間から、細い舌がちろちろと伸びた。
迎えに来た母親のもとへ男の子が走って行くのを見てから、ニコはハウンドに対峙した。
工具をもう一本取り出し、武器を造ろうと部品を見下ろす。
その間に、背高の青年が静かに立った。
セイクリッドである。
彼は片手に銃を握っていたが、それは向けずただハウンドを見つめていた。
直後、ハウンドの唸り声が止んだ。
ゆっくりと後退し、地面に腹部をぺったりとつける。
服従を示す体勢であった。
暴れていたハウンドがおとなしくなったことに人々は目を丸くし、ポーズの意味を知る者はさらに驚愕を隠せない様子でいた。
ざわめきを生む彼らの視線が、セイクリッドのもとに集まる。
「……すまないな。
やはり、森で楽にしてあげるべきだったね」
セイクリッドはハウンドに向かって優しく言うと、歩み寄って銃を構えた。
レバーを下ろし、照準をハウンドの眉間に定める。
さらに後退しようとする砂地の獣に、彼は穏やかに微笑みかけた。
「おやすみなさい」
引き金が引かれ、銃声が響く。
ハウンドの眉間に小さな風穴があき、そこから鮮血が噴き出した。
巨体は反り返って小刻みに震え、地面に横たわる。
もう、その双眸に生の光は宿っていなかった。