極彩色のクオーレ





「シュルルル……」



独特な唸り声を喉の奥から出して、ハウンドがニコを睨む。


口の隙間から、細い舌がちろちろと伸びた。


迎えに来た母親のもとへ男の子が走って行くのを見てから、ニコはハウンドに対峙した。


工具をもう一本取り出し、武器を造ろうと部品を見下ろす。


その間に、背高の青年が静かに立った。


セイクリッドである。


彼は片手に銃を握っていたが、それは向けずただハウンドを見つめていた。


直後、ハウンドの唸り声が止んだ。


ゆっくりと後退し、地面に腹部をぺったりとつける。


服従を示す体勢であった。


暴れていたハウンドがおとなしくなったことに人々は目を丸くし、ポーズの意味を知る者はさらに驚愕を隠せない様子でいた。


ざわめきを生む彼らの視線が、セイクリッドのもとに集まる。



「……すまないな。


やはり、森で楽にしてあげるべきだったね」



セイクリッドはハウンドに向かって優しく言うと、歩み寄って銃を構えた。


レバーを下ろし、照準をハウンドの眉間に定める。


さらに後退しようとする砂地の獣に、彼は穏やかに微笑みかけた。



「おやすみなさい」



引き金が引かれ、銃声が響く。


ハウンドの眉間に小さな風穴があき、そこから鮮血が噴き出した。


巨体は反り返って小刻みに震え、地面に横たわる。


もう、その双眸に生の光は宿っていなかった。




< 737 / 1,237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop