極彩色のクオーレ
「王子!」
眉根を少しだけ下げてセイクリッドが口を動かしかけたとき、後方から太い声がとんできた。
がっしりとした衛兵が、落ち着かせた黒馬を連れてこちらに向かってくる。
「状態は?」
「ご安心ください、大きな怪我を負った住民は一人もございません」
「そうか、良かった」
「早く中央塔へ参りましょう。
ロスティル街長とクロア嬢がお待ちです」
「分かった」
衛兵にうなずいて、セイクリッドは愛馬にさっとまたがった。
道に馬を少しだけ寄せて手を伸ばし、ティファニーの頭をそっと撫でる。
「ティファニー。機会があればまた、ゆっくりお話をしましょう。
ニコ、君自身や君の造主についても聞かせてほしい」
「は、はい」
「分かりました」
ティファニーが勢いよく、ニコが肩をすくめるように頭を下げる。
すっかり傍観に徹していたセドナたちに微笑みかけて、セイクリッドは馬を歩かせた。
歓声を受けながら街の中心へと進んでいく王子を見送って、ハックが瞬きした。
「なんだ、今の?」
「あの王子様、ティファニーに釘付けだったな。
ギベオンやリビアには目もくれないでさ」
「まあ、ギベオンとリビアはお姫様らしい『可憐』なんかねえもんな」