極彩色のクオーレ
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それから2日経った昼下がり、セイクリッドがティファニーの家を訪れた。
あの別れ際の言葉は社交辞令ではなかったらしい。
衛兵を1人しか連れずに現れた王子に、ティファニーは驚きを隠せなかった。
「あ、あの……」
「やあ、突然お邪魔してすまないね。
これはほんのお詫びだ、受け取ってもらえるかな」
「えっと……」
どうすればよいか分からず戸惑うティファニーの手に、軽くて大きい何かが載せられる。
さらりと甘く優しいいくつもの香りが、鼻腔をくすぐる。
「これ……もしかして、花?」
「君のことを思ってつくった花束だよ」
セイクリッドが花の種類を一つずつ教えていく。
季節のものもあれば、この時季には咲かない高価な花もあった。
王子だからこそ、こんな洒落たあいさつができるのだろう。
「す、すみません、セイクリッド王子……こんな素敵な花束を」
「ああ、敬語はやめにしていいよ、友達と話す感覚で。
『王子』も外してほしいな、ちょっと窮屈に感じてしまうんだ。
僕も君のことをティファニーと呼ばせてもらうから」