極彩色のクオーレ
「分かりました、じゃなくて、わ、分かった」
慌てて言い直すティファニーを見て、セイクリッドが小さく笑う。
ティファニーは髪を耳にかけ、気恥ずかしさを誤魔化しながら問うた。
「セイクリッド……どうして、私の家に?」
呼び捨てに砕けた口調、本人からの要望とはいえかなり気が引けてしまう。
馴れるまでに相当時間がかかりそうだ。
実際、今言われたばかりなのに『セイクリッド王子』と呼んでしまいたくなる。
それを感じ取ったのか、セイクリッドが目を細めて優しく笑んだ。
まるで相手を愛しむように。
「もちろん、君と話をしたいと思って来たんだよ。
今は森に仕掛けた罠に獣がかかるのを待っているから時間があるんだ。
街でゆっくりお茶でもしないかい?」
「え?でも、クロアさんは……」
「ああ、クロアのことは心配しなくて大丈夫だよ。
このことはちゃんとクロアにもロスティル街長にも伝えてあるし、二人から了承ももらった。
クロアは王家の一夫多妻をきちんと理解してくれている」
「えっと…」
困ってしまい、ティファニーは少しうつむいて考えた。
いきなり異性から誘われることは馴れない、はっきり言って苦手だ。
しかも相手はルースでいちばん美しい恋人をもっているのだ。
街の人なら誰もが知っている。
そう簡単に誘いを受けてよいものではないだろう。