私の意地悪な旦那様

そのままピンク色な会話を始める女子や、それに便乗する男どもの横で呆然と立ち尽くしているやつに近付く。

そして、そいつの肩に手を乗せた。


「他にも良い女はたくさんいると思うよ(むしろなんで莉乃なのか聞きたいぐらいだ)」

「お、おう…。変なところ見せて悪かったな……。俺、ちょっともう帰るわ」


明らかに重いオーラを背負っているその後ろ姿。
その姿に、俺は全力でエールを送りたい。


誰だって、好きなやつの旦那が現れたら、分かってても凹むよな。


ましてやそれが、織部さんで、さらに睨まれたりしたのなら、尚更………な。

自分が睨まれる立場だったら、と想像した俺は、ぶるりと体を震わせた。


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