神の手のひらで
時が止まったような気がする。
厳しくない、むしろ労わるようなその音色に。
「深く問い詰める気はないが・・・一応な」
眉を緩く下げた少し困ったような顔。
優しさが滲み出ているような顔だった。
「・・・分からない、んです」
「・・・分からない、か」
いきなり知らない土地に来て。
いきなり知らない人に会い。
いきなり剣を向けられた。
大分落ち着いたと思っていたが、思い返せば今でも体が震える。
あそこでアステルさんが止めなければどうなっていただろう。
・・・考えたくもない。
「自分の名前や住んでいる所とかは分かるだろうか?」
「明日花です。小森明日花。住んでるところは東京のーー」
「ーー日本人か」
え?
さりげなく呟かれた言葉に喉が詰まった。
「日本人か、って・・・ここは日本でしょう?」
「・・・・・」
「そりゃ、変な格好の人達でしたけど・・・まだ、分からない土地だってあるはず」
「・・・ここは」
「ありえませんよ、私、学校の屋上から落ちちゃって、それで、なのに・・・」
「・・・ここは日本じゃない」
「嘘っ!」
ここが日本じゃないなんて。
そんなこと、ありえない。
「違うっ!ここは日本で私は迷子になっただけで・・・!」
「違う。ここは日本じゃないんだ、アスカ」
「・・・何、冗談、言ってるんですか・・・」
「冗談じゃないことくらい分かってるだろう」
「・・・からかわないで、ください・・・」
「からかってなどいない」
不安が体を包み込む。
違う、私はーー
「・・・ここは日本じゃないんだ」
この、落ち着かせるような呪文に囚われているだけ。
厳しくない、むしろ労わるようなその音色に。
「深く問い詰める気はないが・・・一応な」
眉を緩く下げた少し困ったような顔。
優しさが滲み出ているような顔だった。
「・・・分からない、んです」
「・・・分からない、か」
いきなり知らない土地に来て。
いきなり知らない人に会い。
いきなり剣を向けられた。
大分落ち着いたと思っていたが、思い返せば今でも体が震える。
あそこでアステルさんが止めなければどうなっていただろう。
・・・考えたくもない。
「自分の名前や住んでいる所とかは分かるだろうか?」
「明日花です。小森明日花。住んでるところは東京のーー」
「ーー日本人か」
え?
さりげなく呟かれた言葉に喉が詰まった。
「日本人か、って・・・ここは日本でしょう?」
「・・・・・」
「そりゃ、変な格好の人達でしたけど・・・まだ、分からない土地だってあるはず」
「・・・ここは」
「ありえませんよ、私、学校の屋上から落ちちゃって、それで、なのに・・・」
「・・・ここは日本じゃない」
「嘘っ!」
ここが日本じゃないなんて。
そんなこと、ありえない。
「違うっ!ここは日本で私は迷子になっただけで・・・!」
「違う。ここは日本じゃないんだ、アスカ」
「・・・何、冗談、言ってるんですか・・・」
「冗談じゃないことくらい分かってるだろう」
「・・・からかわないで、ください・・・」
「からかってなどいない」
不安が体を包み込む。
違う、私はーー
「・・・ここは日本じゃないんだ」
この、落ち着かせるような呪文に囚われているだけ。